薬研・奥薬研温泉郷

絶景の湯

薬研・奥薬研温泉郷について

川床から染み出してきた清らかな湯

大畑川をさかのぼること10キロ、ブナや楓(カエデ)などの広葉樹に覆われた渓流が現れる。夏は爽やかな緑に覆われ、秋は色とりどりに染まる。薬研渓流。川沿いに遊歩道が続く。
この薬研は、温泉の湧き出す場所でもある。手前に数軒の旅館が並ぶ薬研温泉郷、その先に露天風呂のある奥薬研温泉郷。「薬研」というのは、薬の材料を粉にするために挽く道具。湯の湧き出す口が薬研の形をしていたことから付いた名前だという。江戸時代にこの温泉の湯守別当を務めていたという湯宿が今日まで続く、古い温泉地だ。

落人の住むむら

その湯守別当だったという古畑旅館には、豊臣方の武士の落人だという伝説が伝わっている。
大畑湊は西廻りの船が出入りし、上方との結びつきも深い。下北は北の果てではあっても、辺境ではない。海の道が交通の要だった時代、むしろこの半島は西廻りと東廻り・北方の航路が交差する、文明の交差点だった。
湊から川をさかのぼること二里半。森と渓流に囲まれた小さな里。落人かどうかは別にしても、そこに他国の人が住み着いたとしても、何の不思議もない。

ヒバの森の厳かな空気が身と心に染みる

渓流沿いにヒバの森を眺めながら歩いていると、カモシカにあった。森は静かに美しく、深い緑を湛えている。大正15年から昭和43年まで活躍した森林鉄道の跡が、温泉の対岸の遊歩道になっている。
ここには、下北のヒバの数少ない原生林もある。林の奥に足を踏み入れれば、倒れて朽ちたヒバの上に、広葉樹が根を下ろしている。上を見上げれば、緑の葉に覆われて鬱蒼とした森の中で、そこだけがぽっかり口を開け、日の光が差し込んでいた。
森の中の何百年何千年掛けた命の営みを感じながら、心の洗濯をする。

渓流の露天風呂

どこか伝説めいた神秘さを宿すこの渓流に、2つの露天風呂がある。奥薬研温泉郷だ。どのお湯も清らかで優しい。川の流れとヒバの森を眺めながら湯に浸かる。湯は透明で、微かに硫黄の臭いがする。透き通った湯と、森の空気と、渓流のせせらぎと。湯と川と森とが渾然となる。時を忘れ、しみじみと心に染みいるようだ。
聞けば山中で手負った※滋覚大師円仁(ジカクタイシエンニン)が河童に助けられ、この川の湯で傷を癒したという。みちのくの天台修験が通った山里には、円仁の伝説が多い。本当に円仁が来たのかどうか、この薬研の森でならば信じてしまいたくなる。
※滋覚大師円仁・・・天台密教を完成させた第三代天台座主

薬研・奥薬研温泉郷の基本情報

施設名各施設一覧
泉質単純温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)
効能神経痛・筋肉痛・慢性消化器病・痔疾・疲労回復
交通JR大湊線下北駅からバスで45分大畑下車、タクシーに乗り換え15~20分

※掲載情報は平成20年2月時点のものです。各施設の営業日・営業時間・料金・条件等は事前にご確認ください

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