温泉の基礎知識

温泉の分類について

温泉法でいう「温泉」とは、地中から湧出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)で、温泉源から採取されるときの温度が25℃以上で、一定の物質(19品目のうち1品目でも含まれていること)を有するもの、とありますが、温泉法制定よりもはるか昔から利用されてきた名泉の中には、温泉法の条件を満たさないものもあります。私は25℃以下でも多量の物質を有していればいい温泉だと思っています。(但し、あくまでも温度を上げる段階で“水割り”にしない事が前提)

溶存物質(ガス性のものを除く)

遊離炭酸・リチウムイオン・ストロンチウムイオン・バリウムイオン・フェロまたはフェリイオン・第一マンガンイオン・水素イオン・臭素イオン・沃素イオン・フッ素イオン・ヒドロ亜砒酸イオン・メタ亜砒酸イオン・総硫黄・メタ硼酸イオン・メタ珪酸・重炭酸ソーダ・ラドン・ラジウム塩

泉質と効能について

温泉法では泉質が11種類に分類されており、それぞれに適した効能と入り方があります。一般的に効能というと、温泉に含まれている成分が体に浸透して得られる『化学的作用』ばかりが語られますが、このほかにも“温熱”による体の新陳代謝を促す効果や“水圧”による呼吸や心臓の働きを促進する効果、“浮力”による筋肉運動を促進する効果などの『物理的作用』があります。そして、これに、温泉に出かけるという非日常的な行為や、温泉地周辺の景色や環境がもたらすリラックス効果=『心理的作用』という、人間の精神衛生上、重要な効果が加わるわけです。本来、温泉の効能というのは、これら三つの作用がバランスよくはたらくことで心身ともに癒される効果を言うのだと、私は思います。

泉質の分類(11種類)

単純泉/二酸化炭素泉/炭酸水素塩泉/塩化物泉/硫酸温泉/含鉄泉/含アルミニウム泉/含銅泉/硫黄泉/放射能泉/酸性泉

温泉の入浴方法について

全身浴

湯船に入る前に、まず心臓部から遠い右足から徐々に下洗いして体を温めること。湯船に入るのは、お湯がオーバーフローしている湯じりから入る。なぜならば、湯じりは湯船のなかでいちばん温度が低いので、体を慣らすのに都合がいいし、心臓部に負担がかからないからです。湯に浸かっている時間は、泉質や温度によって異なるので、予め効能書きを見て、長い時間浸かったほうがいいのか、短時間で何回も入った方がいいのかを確認してから入ることをおすすめします。

部分浴

どのような泉質の温泉にしろ、首までどっぷりと長時間浸かるのは感心しません。特に泉質の強い温泉で、「硫黄泉」や「酸性泉」などの成分の濃い温泉は、五分ほど全身を浸したら、次は治したい箇所だけを浸けておき、冷えてきたら体にお湯をかけたりする。これを何度か繰り返すだけでも、有効成分は充分に浸透していきます。

特殊な入浴方法

入浴ではないが、「飲泉」も立派な温泉治療のひとつと言えるものです。もちろん、効能書きを確かめてからのことですが。一回の量は一般に100~200mlとし、一日200~1,000mlが適量でしょう。

湯治の歴史について

人間と温泉の関わりは石器時代までさかのぼると言われている。それを裏付けるように、大きな遺跡が発掘されたまわりには沢山の温泉があります。青森県の三内丸山遺跡、静岡県の登呂遺跡、鹿児島県の隼人民族がいた集落などがその代表的なものと言えるでしょう。満足な薬もなかった時代に、100℃に近いお湯が湧き出していれば、入浴や傷の治療はもちろん、煮炊きも可能だし、暖をとることも出来たわけです。湯治の歴史に目を向けると、ローマ帝国では敵地を侵略すると、温泉地の施設だけは破壊せずに保養地として残し、兵士たちの英気を養ったとあるし、日本でも武田信玄の隠し湯は有名で、温泉地に金堀り人夫や兵士たちを集めてリフレッシュさせたという記述が残っている。湯治が一般庶民のあいだに広まったのは江戸時代のことであると 言われていて、農民や漁民が繁忙期の疲れを癒しに、農作物などを持って温泉に行き、自炊しながら、日に数回に分けて「湯浴み」をする。これを繰り返しながらゆっくりと体を休める………。こうした習慣が明治・大正・昭和という時代を経て庶民の間に定着してきたものと考えられます。かつては、温泉に行くこと=「湯治」を意味するもので、現在のような日帰り温泉といったスタイルはなく、最低でも一週間単位で行われていました。長くて三週間から一ヶ月程度だったと言いますから、その頃にはすでに、現在の湯治サイクルが確立されていたと言えるでしょう。

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